3月 042017
 

【総論】
全体的に難化。特徴的なのは大問3であろう。値域を求める問題が大問1にずれ込み、その関係で1問分、応用問題が追加されている(後述)。また大問2はさらに磨きがかかっている。共通問題としてはかなりの難度ではないか。そのほかの大問にも若干の変化がみられる。このようなことから、昨年よりは平均点が低下するだろうことが予想される。ただ、当塾としてはこうした傾向を歓迎したい。地域間・学校間で明らかに存在する内申点格差を是正・逆転する絶好の機会ととらえるためである。

【各論】
以下に若干の解説を加えつつ、本試験問題に関してコメントを記す。

大問1 小問集合
(1)~(6) いつもどおりの問題であり、1問の失点も許されない。【基礎レベル】
(7) ここで若干の衝撃がある。通常、資料の整理などの問題が出題される本小問で、どういうわけか値域を求める問題が出題されている。これは、前述したとおり大問3を難化させるための布石だったといえる。もっとも、ここで特筆すべきはこのことのみで、難易度自体はいつもの共通問題である。失点は絶対に許されない。【基礎レベル】
(8) いつもの確率問題。コメントするとすれば、余事象を使うと早い、ということくらいか。【基礎レベル】
(9) 円周角の単元での、「中心角・円周角は、弧の長さに比例する」をきちんと使いこなせないと解けない。そのうえで、角の二等分線を作図すればよいのだが、現場で何をすればよいか途方に暮れた受験生がいたのでないか。例年より難しい。【標準レベル】

大問2 規則性・数式の証明
本大問は、昨年で難化傾向がみられ、そうした傾向がさらにとんがったものと評価できるのではないか。都立共通問題の中では過去にないレベルの出題だろう(とはいえ、他の道府県の問題と比べると標準レベルだが)。
(1) 本問は規則性の問題だから、まずは現場で手を動かす必要がある。規則性の発見が最初。書き出せば簡単に正解肢を選べる。選択問題だから多少の計算ミスがあっても近いものを選んで逃げることもあるだろう。その意味で難易度は若干下がる。【標準レベル】
(2) これも書き出せばよい。しかし、試験現場の異様な空気の中で冷静にその作業ができる受験生がどれほどいただろう。こうした問題を解き慣れていないと、書き出し作業でミスが生じ、ゴールまでたどり着けないだろう。勉強の時はリラックスして解けるからひっかかりが少ない作業も、緊張状態の中ではなかなかつらかっただろう。その点を加味すれば、難易度の評価は上がる。【やや難レベル】

大問3 関数
(1) 直線ℓ上の点だから、Pの座標の検討にあたっては、x座標を素直に代入すればy座標が得られる。確実に得点したい。【基礎レベル】
(2)① 特筆すべき点である。本来このタイプの問題は本大問の最終設問である。それが、【総論】にて述べた通り、1問前倒して登場している。問題の難度は、頂点を通る直線が三角形を2等分するという問題に過ぎないから、知識問題の域を出ない。【基礎~標準レベル】
② 底辺が共通している三角形の面積比の問題、または、三角形ABCの中での小さく分かれた三角形の面積比の問題。前者のとらえ方をすれば、頂点A・Dからそれぞれの底辺である辺CPに対してy軸と平行な線分をひっぱり、それらの線分比を求める。座標平面上での線分比は、共通問題の中では難しい問題になる。これに対して、後者のとらえ方をすれば、AP:PBとCD:BDの線分比から各々面積比を求める、といった解法をとることとなる。相似の知識も求められており、やはり座標平面上で平面図形の解法を連動させることとなることから難易度は高いだろう。筆者は、まるで愛知県などの過去問を解いている錯覚に陥った。なお、そのほかにも解法がありうるところであることは断っておく。【やや難レベル】

大問4 平面図形・証明
(1) 大問1(9)と同じタイプの問題といえようか。弧の長さを聞かれていることから中心角に注目するという方法が思いつけることがポイント。点Qと点Oを結べばおしまい。とはいえ、こうした問われ方は共通問題の中では極めて珍しいのではないか。【標準レベル】
(2)① 例年の図形証明問題よりは多少難化している。本小問もいくつかのアプローチがあろうが、(語弊があるが)直径に対する円周角、直角三角形の角度に関する知識(または模範解答のように錯角を用いること)により証明がなされる。【標準レベル】
② 仮に本小問①の証明ができなくても、その事実を用いて解けばよい。簡単な相似を用いるだけであり、解答は比較的容易といえよう。【標準レベル】

大問5 空間図形
(1) 線分の長さを求める方法はいくつかに限定されるところ、本小問では三平方の香りが嗅ぎ取れるのではないか。そして、勝負はここから。つまり、どの三角形の辺としてMPをみるか。これについては、現場で試行錯誤するしかないのではないか。気付くためのポイントとしては、MもPも各線分上の中点であること。ここから中点連結定理などを引っ張り出せれば、①MからBDへ垂線を引くことと、その足をHとし、②PHを結ぶことで、めでたく△MPHという、いわゆる3:4:5の直角三角形を作り出せるのではないか。
いずれにしても、50分というタイムプレッシャーの中で、そこまで試行錯誤できる受験生がどれほどいるか。かなり難しいと評価すべきではないか。
なお、本小問は選択問題であり、かつ、解答の形式から一桁の整数であること、たとえばAB=8を基準にしたとき、MPはそれよりは短いうえ、常識的に見て0~4あたりという長さではないだろうという直感が働くことからすると、解答の候補として5または6のどちらかだろうというところまで絞れてしまうかもしれない。そのように見たとき、もちろんまったく数学的な解き方ではないが、空欄で提出するよりは何かを埋めたほうが良いのは受験生心理として当然のことだから、勘で正解を狙う、ということもあってよいだろう。5点は大きい。【やや難レベル】
(2) まず三角錐全体をD-ABCとし、底面を△ABCとみることができれば、求める図形はまず面積がどれほど小さくなるのか、という面積比の問題であることがわかろう。次に、高さの比を相似な図形の線分比の知識で求める。定型問題であり、ある程度問題演習で鍛えてきた受験生にとってはむしろ小問(1)よりも解きやすいといえよう。去年の体積比の問題よりは易しい。【標準~やや難レベル】

【対策】
以上述べてきた通り、本年度の数学は難化している。本年度の5科目の中では最も難しかったのではないか。対策としては、もはや都立共通問題の過去問だけではなく、他の道府県の問題にも果敢に手を出すべきだろう。旺文社の全国高校入試問題正解などを用い、公立高校の問題については全国制覇するくらいの気概があれば、来年度の問題でにっこり笑うことができるはずだ。

 Posted by at 6:02 PM

Sorry, the comment form is closed at this time.