3月 012017
 

【総論】
昨年度との比較で多少の易化が認められる印象である。正確な知識がないと選択肢が絞り切れないというタイプの問題が昨年より減少したことがその原因と思われる。平均点の上昇が見込まれる。なお、例年、受験生が苦手としがちなイオンや天体が大問としては出題されなかったのも(いかに昨年既出とはいえ)多少意外であった。昨年度の難易度の高さ(平均点の低さ)から都教委が揺り戻しを図ったことの表れかもしれない。

【各論】
以下に若干の解説を加える。なお、後日修正が入ることがありうる。ご了承されたい。
大問1 小問集合
(1) 粘り気の原因としてケイ素が挙げられること、ケイ素がガラスの原料であることなどから溶岩の粘り気のもととなっていることを知っていれば、色や火山形成にどのようなかかわり方をするかが了解されているはず。正解を選ぶのは容易。【基本レベル】
(2) 電圧がかかることで各イオンが電極に引っ張られること、陰イオンである水酸化物イオン(OH-)がアルカリの正体であること、アルカリは赤いリトマス紙を青く変色させることの3点を知っていれば正解を選ぶことができる。【基本レベル】
(3) 対立遺伝子、優性の法則がわかっていれば解ける。【基本レベル】
(4) 右ねじの法則と磁力線の意味が分かっていれば容易。【基本レベル】
(5) タンクの図から気体状の原油がどのように冷えるかということが推測でき、沸点の意味と蒸留の意味をきちんと理解していることを条件に解くことができる。【標準レベル】。
(6) 電流計・電圧計のつなぎ方、とくにそれぞれの接続部位がきちんと頭に入っていれば容易。【基本レベル】
(7) 一般的な月の周期を表す図をイメージできれば簡単に解ける。【基本レベル】

大問2 小問集合
(1) 密度と浮き沈みとは、決まった大きさ(体積)に対する質量で決まる(密度の理解)ということが分かっていれば、単なる掛け算の問題。【基本~標準レベル】。
(2) サンショウウオが両生類であることや、両生類の表皮が粘膜であること、両生類が変温動物であることがわかっていれば何も悩まない。【基本レベル】
(3) 屈折がこのようにきかれるのは少々珍しいかもしれない。とはいえ、本来知識として知っていなければならないはずの屈折の様子を説明している点で、かなりレベルが引き下げられている。【標準レベル】。
(4) 流水の運搬作用の理解、粒の大きい順(れき・砂・泥)に河口付近に沈殿するとの当たり前のことを覚えていればウかエに絞れる。そして、露頭ないし柱状図の問題では、同じ高度同士を結んで比較するという解法を身に着けていれば、ずれが5-1=4mであることは容易に判断できる。【基本~標準レベル】。

大問3 天気・水蒸気量
(1) 天気記号、風向きの意義と、低気圧に生じる前線を境界とした寒気・暖気の配置が身についていれば何も迷わない。【基本レベル】
(2) 寒冷前線の通過により、どのような温度変化・天候の変化があるかがわかっていれば、それだけで正解が選べる。時間帯は判断できる必要がないといえる。【基本~標準レベル】。
(3) 台風の位置だけで判断できる。偏西風の影響が下敷きに判断できるはずだが、日ごろ天気予報に興味を持ってみている受験生であれば容易な問題だったことだろう。【基本~標準レベル】。

大問4 消化
(1) デンプンに作用する消化液と、消化の結果何に変化するかという基本知識のみで解ける。【基本レベル】
(2) 触媒としての酵素に最適温度があることがわかっていれば、結果2を見なくても選べる。【基本~標準レベル】。
(3) 単なる知識問題。【基本レベル】。
(4) セロハン膜の実験問題を解いたことのない受験生はあまりいないだろう。もしも知っているのであれば、既知の実験結果から解答を逆算すればよい。要は、消化・分解前のデンプンは大きな構造で、唾液により分解された糖は論理的に考えてデンプンよりは小さな構造となるということから判断する。この問題を知らない受験生が僅少ながら存在するだろうことを考慮して【標準~やや難レベル】の問題といえるだろうか。あまり正答率は高くならないものと思われる。

大問5 化学反応
(1) 結果1・結果2から、Aが食塩、Bが炭酸水素ナトリウム、Cが砂糖、Dが酸化銀、Eが酸化銅であることがわかる。これが判断できないようではいけない。そして、BTB溶液の反応がわかっていれば選択肢が切れる。【基本~標準レベル】。
(2) 金属の性質と酸化銀の化学式がわかることを前提として、化学反応式(原子の個数合わせ)が書けるなら迷うことはない。【基本~標準レベル】。
(3) 還元という必須知識が言葉で説明できれば良いだけの問題。論述問題ということに敷居の高さを感じる受験生がいるだろうことを考慮して、【標準レベル】の問題といったところか。

大問6 力学的エネルギー
(1) 質量100gの物体に働く重力を1Nとする、というよくある定義を覚えている受験生がほとんどだろうから、このことと実験結果から正解肢は明らか。【基本~標準レベル】。
(2) 昨年度の大問1(2)で既出である。これを間違えた受験生がいるとすればそもそも勉強不足としか言いようがない。【基本レベル】
(3) グラフの作成方法は懇切丁寧に問題文がすべて述べてくれている。何も迷わず指示に従えばよい。【基本レベル】
(4) 木片の移動距離から、小球Aのエネルギーの方が大であることがわかる。【標準レベル】

【対策】
上記解説にて触れた通り、全般的な問題が【基本レベル】ないし【基本~標準レベル】に落ち着いている。しかし、それは確実な基礎知識を前提とすることは言うまでもない。たとえば大問1・2で許される失点は多くても2問までだろう。それ以上に間違えるようではいけない。
来年度以降の受験生は過去問の解き込みを含め、多くの問題演習を実施しておく必要が依然として認められる。解答に当たって、作図やグラフ作成などの問題は現場で正確な判断が要求されることから、また、つまらないミスを減らす必要からも、演習量の確保は重要である。

 Posted by at 1:16 AM

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