都立高校平成26年度数学[共通問題]問題分析
全体コメント:
難易度は昨年と比べて易化。ただし,学習指導要領の改定により新しく追加された単元・項目について基本的な問題をこなしておかなければ取りこぼす可能性はある。
大問1:小問集合
学習指導要領の改定の影響が最も強く出ている大問。問6は二次方程式の計算は平成15年度の問題形式変更移行で初めて解の公式を用いる。問7は中1「資料の整理」からの出題。問8は回転移動を取り入れた作図。いずれも過去問以外の対策していないと取りこぼす可能性がある。問8の角度計算はここ数年で圧倒的に易しい。それ以外の問については例年並の難易度。
大問2:場合の数,式の利用
例年大問1に含まれていた「場合の数」の出題を問1に移動。文字による説明能力を問う問2は自ら新しい文字を設定する必要があり,ある程度の実力がない場合は手詰まりとなるだろうが,そこをクリアできれば証明自体は易しい。
大問3:二次関数
問1は「二次関数」からの出題の場合は頻出の変域を問う問題で易しい。問2(1)もぼぼ例年通りだが,条件とあうグラフを自力で書き込む必要があり,問自体はきわめて易しいが問題の読解力を問うているように感じる。問2(2)は問2(1)同様に条件のグラフを書き込むことができ,座標を文字で置くことに慣れていればそれほど難しくはない。
大問4:平面図形
3問中2問は図の三角形PCQが30°,60°,90°の直角三角形であることを利用する。ここに気付けば角度を文字で表す問1は易しい。問2(1)の相似の証明は驚きの易しさ。教科書の例題レベル。問2は例年通り実力が問われる問題。平行線や問1で利用した30°,60°,90°の直角三角形に再び注目しつつ,三角形の底辺の長さと面積の比の関係を丁寧に用いればよい。ただし、どの部分の比を用いるかで少し迷うかもしれない。
大問5:空間図形
問1は易しい。計算の必要もない。問2はまずどのようなアプローチを使うかで迷う。ぱっと思いつくのは三角形ADQを底面としてPからの底面に下ろした垂線を求めていく方法だろうが,これだと手間がかかる。そこで見方を変えてQPをPの方に延長してBCとの交点を点Rとし,三角すいQ-ADRの体積から三角すいP-ADRの体積を引くという考え方をとると,与えられている長さのみでいとも簡単に解答にたどり着く。発想の柔らかさが問われる。