都立高校平成26年度理科[共通問題]問題分析
全体コメント:難化。平成15年以降の問題の中では最も難しいだろう。大問3以降で扱っている単元・項目はは天体,遺伝,イオン,電流と磁界で,いずれも生半可な理解では得点しにくく苦手とする生徒が多い。その上に読み取る資料や図表も多く,各設問の意図をつかみ取るのも難しい場合がある。苦戦した受験者は少なくないだろう。
大問1:小問集合
問1は実験器具の扱い方で基本的知識。問2はオームの法則を利用した計算問題でレベルは基本的。問3は前線を伴う低気圧の様子について。基本的。問4は食物連鎖について。2択に絞れる構成になっていないが,必要とする知識は基本的。問5は等速直線運動について。摩擦力を見落としていなければよい。基本。問6は化石の分類。基本。
大問2:小問集合
問1はS波の到達時間の計算問題。平成23年大問3に類題。問題条件を見落としていなければ易しい。問2は圧力から逆算することに戸惑いがあったかもしれないが、圧力の公式がしっかり使うことができればよい。基本。問3は問題文の一酸化炭素の説明をしっかり読めば問題ない。基本。問4はパルミチン酸で「固形」燃料をつくっていることを把握しておけば,常温で固体ということがわかる。基本。
大問3:天体
問1は観察に根拠を求めた解答がかけているか。知識としては基本的。問2は図2と図5から比較的簡単に地球と月の位置が特定でできる。基本的。問3はすでに発表があった通りすべての選択肢が正解となった。出題の形式としては近年よく見かける複雑な選択肢を読み取らせる問い。今後も要注意である。
大問4:遺伝
問1はこれまで出されたことのない,双眼実体顕微鏡の扱い方。知識としてノーマークであると手が出せない。問2の記述は都立独特のきき方である。有性生殖とはどのような生殖の仕方をするのかがわかればよいのだが,書き方に悩んだ受験者は多いだろう。選択肢の方は必要な知識は基本的だが,1つ1つが長い選択肢のため文中のポイントをしっかり確認できるかが鍵。問3は遺伝子の組み合わせの表を作り整理できればそれほど難しくない。
大問5:イオン
問1の記述は易しい。選択肢は酸性・アルカリ性をpHの値に置き換えなければならない点にひとつひねりがある。問2は教科書で扱う亜鉛板と銅板を用いた電池の仕組みを明確に覚えていればできる。問3は金属の「イオンのなりやすさ」に踏み込んだ問い。問題文と選択肢だけを見ると手が止まるかもしれないが,指示通り実験結果を確認すれば解ける。
大問6:電流と磁界
問1は実験1に関する選択肢はやや悩むが,電熱線の性質を素直に考えればよい。図2に関する選択肢は磁力線を空間で把握する必要がありひねりがある。問2は選択肢の後半部分で「コイルの内径のサイズ」を変えることを,「(単位長さあたりの)コイルの巻き数を増やす」と読み替える必要がある。やや難しい。問3は設問で少し悩むかもしれないが,シンプルにエネルギーの移り変わりを説明すればよい。選択肢は基本的。