平成30年度都立高校入試【社会】入試問題分析

【総論】難易度は例年と比べるとやや難しいと思われる。前年との違いは大問4・6での並び替えが1題増えて2題になったことによって完全正答しなくてはならない問題が計4題になったため正答率は下がったといえる。地理分野に関してはマニアックな国や県が出題されることはなく例年通りの出題範囲になる。歴史分野に関しては自校作成校と共通問題校との差を意識してか大問1の問2のように今で出題されなかった古代文明の範囲も出題された。また歴史は近現代で多少細かな年代を聞いてくるようになってきたので今後はやや細かな部分まで年表を暗記する必要性を感じる。公民分野では2000年以降の現代に関する問題が出題された。1900年後半までを押さえる以外にも今後は対策が必要になってくる。

今後のポイントとして地理分野はヒントとなるキーワードや表・グラフの特徴をもとに国名や県名を探せるようになることが必要になる。歴史はより細かい部分まである程度年表を押さえること。地理と歴史はどこを根拠に正解したのかが重要になる。なんとなく解いていては安定した成績を取ることはできない。正解以外にも他の選択肢はどれに当てはまるのかしっかりと確認することが高得点の近道になる。公民分野は平成から現代までの出来事をしっかり順序づけることが安定した成績を取るポイントになる。

以下大問ごとに難易度と概要の解説に入る。
なお難易度は標準・やや難・難の順とした。

大問1

問1 写真から正しい地形図を見つける問題。写真から高速道路・工場地帯を読めていれば難なく回答できる。【標準】
問2 説明文から古代文明の場所を特定する問題。初めての出題範囲になる古代文明が出題されたため正答率は低い。モヘンジョ・ダロなど今後はこの単元をしっかりと覚えていく必要がある【難】
問3  歳出の総額から歳出の項目を選ぶ問題。説明から計算で導き出せるが項目は歳出額の多い順に覚えておくことが必要である。【標準】

大問2

問1 雨温図と説明文から国を選ぶ問題。偏西風と暖流に気がつけば解答できる【標準】
問2 表からマレーシアを選ぶ問題。マレーシアの貿易での特徴を押さえること。また発展途上国か先進国かを1次産業から読み取ることがポイントになる。【やや難】
問3 表からそれぞれの国を当てはめる問題。アルミニウムはあまりヒントとして生かすことができないため説明文の中から地形的なヒントや日本の輸入量から判断していく必要がある。【やや難】

大問3

問1 説明文からそれぞれの県を選ぶ問題。各説明文の中に特徴的な説明が多く見られるためここは正解しておきたい【標準】
問2 鹿児島県を選ぶ問題。数値が似ていて選びにくい。火山灰が多く水田に向かないことと主な農産物を知っておかないと解けない。【難】
問3 資料を使った記述問題。資料をしっかりと読み取れば難しくはない。【標準】

大問4

問1 歴史の並び替え問題。キーワードから時代を推測するやり方を使えば難なく答えることができる。例年通り時代がわかりやすく分かれている【標準】
問2 引用文から同時代の説明をしている文章を選ぶ問題。江戸時代を示す文章が2つあるためにやや選びにくい。江戸の前期か後期かはしっかりと理解しておく必要がある。【やや難】
問3 明治時代の学制と同じ時期を選択する問題。似たような年代があり多くの受験生は苦戦した問題。江戸から大正までは今後年代を押さえていく必要がある。【難】
問4 明治から平成までの近現代の並び替え問題。昭和の並び替えで苦戦した受験生がいた。第2次世界大戦以降の出来事はしっかりと並び替えできるようにする必要がある。【標準】

大問5

問1 平等権の説明をしている選択肢を選ぶ。ここは正解しておきたい【標準】
問2 条例の説明をしている選択肢を選ぶ問題。ここも正解しておきたい【標準】
問3 グラフと説明文から読み取れることを記述する問題。グラフの後半部に着目して変化していることを述べれば正解できる。【標準】
問4 グラフと説明文から当てはまる年代を選択する問題。グラフから正解を導くこともできるがややグラフが読み取りにくい。ここはEUの発足年代から正解につなげる方がよい。従ってEUの発足年代は暗記しておきたい。【やや難】

大問6

問1 説明文から国名を当てはめる問題。各説明文にその国を表す特徴的なヒントがある。ここは正解したい。【標準】
問2 各説明文から当てはまる国を選択する問題。例年完全回答を求める問題は各大問に1つだったが2つに増えたことにより難しく感じる受験生が多くいた。ここも特徴的なキーワードが多く落ち着いて解けば正解できる。【標準】
問3 説明文の年代を選ぶ問題。環境会議は例年1992の地球サミットまでの出題だったが2002年の地球サミット2002が出題されている。ここの正答率は低い。今後は公民分野での年表問題はこの時期以降も出題される可能性がある。今後はこの単元ではしっかりとした準備が必要になる。【難】